5歳児健診は子育て環境の充実に不可欠

子どもの発達障がいなどの早期発見、早期支援に向け、こども家庭庁は、来年度(2026年)から健診に必要な医師らを確保する費用や児童発達支援士や心理士などへの研修費を自治体に補助し、現在14%にとどまっている実施率を2028年度までに100%を目指しています。

現在5歳児の保育園や幼稚園、認定こども園のいずれかに就園している割合は、2020年度で98.1%にまでなっており、各園での5歳児集団健診は大変有効だと思われます。

都内では既に2001年度に目黒区で始まり、24年度の段階では9自治体で実施され、大田区でも24年度より大森医師会の先生方のご協力により、区内の保育園6ヶ所で、医師による定期健診のモデル事業が始まり、26年度中に区内全域での導入を目指しております。

文部科学省の報告によれば、発達障がいのある子供は約6.5%と示されており、1クラス25人の場合、1人か2人の割合で在籍していることになります。

因みに大田区では、1学年の学齢別人口は約5,000人前後で推移しており、約6.5%で計算すると、未確認の子供達も含め、約335人程度の子どもが在籍していることになります。

現在母子保健法では、1歳半と3歳児の健診を自治体に義務づけておりますが、5歳児健診は任意となっております。しかし、3歳児健診ではグレーゾーンと言われる子供達の発達障がいの見極めが難しく、幼稚園や保育園などの集団生活を経験する5歳児の方が、その傾向を見極めやすくなると言われています。

また栄養状態の偏りや肥満傾向、メディア視聴過多などについても評価が行われ、保険指導や療育相談を通じ、早期の偏食による欠食障がいや、不規則な生活による不登校の未然防止など、就学後に与える影響を低減することになります。

今回こども家庭庁の補助により、医師や保健師など発達障がいの診断や生活指導ができる専門家の確保などへの財政支援が行われ、「5歳児健診」は大きく進むことになります。「5歳児健診」は、日頃の生活習慣を見直し、子育てに関する様々な悩みや疑問を相談できる良い機会でもあります。

大切なことは、早期発見を進めるとともに、併せて子供の発達に不安を抱える保護者へ寄り添い、共に考え、安心して就学を迎えられるようなフォローアップの体制を充実させていくことです。そのためには、医師会の先生方をはじめ、多くの専門職の方々のご協力も頂き進めていかなくてはなりません。

東京都においても、この度の国の方針に合わせて、区市町村の取り組みと連携して、「5歳児健診」の普及、療育体制の整備に取り組んでまいります。

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