現在10月4日の投開票に向けて、自民党総裁選挙が行われています。
この総裁選は、自民党がもう一度国民政党として国民の信頼を取り戻すことが出来るかの大変重要な選挙であります。そのためには、「政治とカネ」の問題にけじめをつけることはさることながら、仁徳天皇の「民のかまど」の逸話にあるように、国民に寄り添い、国民の声を真剣に受け止める政治に変えていくことが求められます。
そうした中、直近3回の選挙の敗因として、急激な物価高に困窮する国民への支援不足があげられています。特に国内需要を見誤った米不足による米価の高騰は、国民生活を直撃し、エンゲル係数は43年ぶりに高水準となりました。
物価高対策の切り札は、日銀による利上げと言われておりますが、物価と景気が「何かを得ると何かを失う」トレードオフの関係であることから、景気に過度のストレスを与える利上げは、企業実績を損ない、デフレからの完全脱却を目指す日銀としては実行しにくい状況だったと思われます。そのような中、民間主導の春闘において、2年連続大幅な賃上げが実現できたことや、株価やGDPの上昇などにより、まだまだ実質賃金がマイナスにもかかわらず、政府による物価高対策が後手に回ってしまい、国民生活を十分に支えることが出来なかったことは、大変悔やまれてなりません。
私はこれまで様々なところに足を運び、多くの方々のご意見を伺ってまいりましたが、特にこの間、子育て世代の方々などから、食卓の総菜の数を減らしたり主食のお米を麺に変えたりと、大変なご苦労をされている話を聞き、早急な物価高対策の必要性を都政で訴えてまいりました。
国民生活はようやく賃金が上がりはじめたとはいえ、四半世紀にわたり実質賃金が全く増えていないところに急激なインフレとなっており、生活を維持することさえも厳しくなっているのが現状です。特に、非正規雇用の方々や年金のみで生活されている方々など昇給が見込めない方々は、大変深刻な状況です。
現在、日本の長期的な経済停滞により、景気や企業業績に左右される労働力の調整弁となっております非正規雇用者は年々増加傾向にあり、雇用者全体の約4割、2,126万人にのぼっており、少子化の原因にもなっております。
こうした状況の中、岸田政権における子育て支援を目的とした児童手当の拡充は、その一部の財源を現役世代の社会保険料に求めたため、結果的に非正規雇用者を増やす恐れがありました。しかし本年2025年の社会保険に関する制度改正で収入要件が撤廃され、週20時間以上の時間用件のみに変更にされたことから、「被用者皆保険制度」へ近づき、一定の歯止めになりました。そのような状況の為、被用者保険者間の格差是正は早急に行わなくてはなりません。
また年金のみで生活されている方々は、高齢者人口の約43.4%に増加し、生活が苦しいと感じている方々は55.8%に達していると言われております。
インフレは経済全体に影響を与えるだけでなく、特に直接個人の生活に大きな影響を与えます。そのため国においては、経済動向指標だけでなく景気動向指数、特に内需に大きく影響する家計部門の動向や「消費者余剰」の多寡など、今まで以上に国民生活実感に敏感になるべきです。
今回の総裁選で、物価高対策が大きな論点になっております。ポイントは低中所得層への支援です。
各候補者の政策の中で、今日求められている物価高対策における低所得者支援の効果が高いのは、高市早苗候補がかねてより訴えられている「給付付き税額控除」であると私は考えております。所得格差の不利益をおさえ、就労意欲の促進など経済の活性化が見込める家計支援策であると思います。ただ、所得や資産を正確に把握し活用する仕組みが整っておらず課題はあるものの、これを機にマイナンバーの活用を広げていくことが可能だと思います。実際に国会内でも、最近になり自民・公明・立憲の3党が「給付付き税額控除」の制度設計について協議の継続を確認しており、実現の可能性の高い政策と言えます。
現在日本は、経済成長を続ける国でありながら、物価高が家計を圧迫し、ひとりひとりの生活における豊かさが感じられなくなり、現実と実感の乖離が生まれています。その抜本的解決は、本来目指すべき需要の増加を伴って価格が上昇する「良い物価上昇」に変えていくことです。そして少子高齢化、人口減少が続く日本でも、賃金が上がり経済がうまく循環し、私たちが豊かさを感じられる社会に向けて取り組んでいくことです。そのために潜在成長率向上への環境整備を着実に進めていくことが大切です。
そのことを実現できるリーダーは、高市早苗候補しかいないと思っております。