戦後80年見解は必要ない

今月8日、石破茂首相が自民党総裁の職を辞することを表明し、総裁選挙実施が決定し、今月22日よりスタート、来月4日に新総裁が誕生します。

昨年10月の衆議院選挙、今年6月の都議会議員選挙、そして7月の参議院選挙と、大敗北を喫し、衆参両院で少数与党になるという、自民党結党以来の危機的状況において、事実上の退陣勧告を出される前に、リーダーとして潔くけじめをつけていただきたかったと思います。

退陣表明を行った緊急記者会見において、「まだやり遂げなければならないことがあるという思いもある中で、身を引くという苦渋の決断をした」と話されておりましたが、全ての選挙で信任されなかった首相が、理由はどうあれ続投しようとすること自体が民主主義の否定であり、国民不在の政治と言えます。

今は、新しい総裁、総理が決まるまでの間、政治空白を生まない範囲で、責任を果たしていただきたいと思います。その中で、石破総理が新総裁誕生後に表明しようとされております「戦後80年見解」は、何分にも辞めていただきたいと切望します。

歴史認識を巡るこれまでの首相談話の集大成として出された「安倍総理の戦後70年談話」は、未来志向の決意として国内外から高く支持され、日本の平和的外交に世界が大きな期待を寄せています。そのような中で、首相が10年ごとのタイミングで新たな見解を発する必要もなく、「なぜあの戦争に進んでしまったか」の検証に拘泥して見解を出すことは、国益としてマイナスになることはあっても、プラスになることは全く考えられず、新たな課題を残すだけのものであります。

この度の総裁選の候補であります高市早苗議員による「今、新しいメッセージは不要」との発信は当然であり、無用な政治問題を創出させないよう、他の候補からも釘を刺していただきたいと思います。

大切なのは、国民が戦後70年談話の精神をもう一度心に刻み、一人一人が世界の平和に向かって進んでいくことだと思います。

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