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東日本大震災から10年、福島での原発事故への反省と、脱炭素社会に向けた東京の責任

東日本大震災から10年が経ちました。復興はまだ道半ばであり、未だに大変多くの方々が困難を抱え、苦しまれております。特に、原発事故により、私の父の田舎の富岡町のように、帰還困難区域や居住制限区域が残り、制限が解除されても深刻な過疎化により生活に困難を抱え、また産業の柱である農林水産業は、厳しい風評被害に晒されて離職されていくなど、課題が山積しております。

今回原発事故の起きた福島第一・第二原子力発電所は、合わせて10機の原発を有し、全国の原子力累計発電量の25%を占め、その利用のほとんどが東京を中心とする関東地方でした。

こうしたことを考えると、これまで東京は、福島の方々のご尽力の恩恵の基にあった事実と、福島のこのような現実を自らの事として決して忘れることなく、一日も早い復興に務めるとともに、今後の日本の防災対策、危機管理対策に生かし、更には原子力に頼らない新たなエネルギー政策の中心として東京が取り組んでいかねばならない責任と義務があることを、改めて胸に刻む必要があると思います。

振り返れば、日本の原発導入促進は、1970年代のオイルショックが契機となり、その後の経済成長による電力需要の増大におけるエネルギーの安定供給という社会的要請を受けて進められてきました。しかしその間における原発に関連する国内外のトラブルにより、2003年に策定されたエネルギー基本計画において、「事業者は安全という品質の保証体制の確立に務め、国は安全規制を確実に行い、国民の信頼回復に努めることが必要」と明記されましたが、国内における事故やトラブルに対し、これまで全て対症療法で済ませてきた事が、「行政の無謬性」文化をつくり出し、更には原発の「安全神話」を生み、最終的には、何よりも安全を最優先する理念が失われてしまいました。

現在世界では、異常気象を背景に、地球温暖化に対する問題意識が高まり、温室効果ガスの排出削減と、エネルギー政策の再構築が議論され、2015年12月の第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)において、2020年以降の取り組みとなるパリ協定が採択され、これを受けて国内においては昨年10月26日の菅首相の所信表明演説の中で、2050年に温室効果ガスの排出量と吸収量をプラスマイナスゼロとする「カーボンニュートラル」が表明されました。

福島の原発事故後の現在のエネルギー基本計画では、「原発依存度は、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電の高効率化などにより、可能な限り低減する。」と明記され、多様なエネルギーミックスに取り組んでおります。しかしその計画の中でも、2030年度の総発電量のうち、原発が占める比率を20%程度とされております。今後この計画を更に進化させた「カーボンニュートラル」の取り組みがスタートしますが、再生可能エネルギーの課題となる、電力の安定供給の困難さやコストの問題など、克服すべき事柄もあります。

東京都においては、エネルギーの大消費地である東京が、脱炭素、省エネ、環境先進都市を目指し、都民や事業者の省エネルギーの取組水準を明確にするため、温室効果ガス排出量の削減目標に加え、エネルギー消費量の目標を設定しました。そして世界初の都市型「キャップ&トレード制度」を導入し、事業所のCO排出量の総量削減義務を開始し、対象事業所の約80%が削減義務以上の削減を達成し、基準排出量比27%削減に至りました。また、家庭においても「省エネ」「再エネ利用拡大」を進め、都内産再エネ電力の地産地消を促進しております。そして「再エネの利用拡大」と「再エネの課題」に対応するための産学官の連携を図り、新たなイノベーションを後押しする「東京グリーンボンド」を発行し、昨年は300億円に増やし、民間からの投資を呼び込んでおります。更に、COを排出しないクリーンエネルギーの水素エネルギーの活用にも取り組んでおり、これからもエネルギー供給源の多様化、経済・産業への波及効果、非常時対応など、今後も新たな東京・日本の発展に資する、原発に頼らない脱炭素社会の構築を、東京が先頭に立って進めていく強い決意をもって取り組んで参ります。